SFだけど機械うんぬんはナシ

やばい、モチベーションが上がらない。仕事もあがらない・・・。関西にいけず、地震もくらってしまった・・・。頑張らないと、たぶん、来週は震度6くらいの地震をかまされる気がしてきた。
こんなダメダメ気分の中、漫画を読み返していた。もっとダメダメ人間に堕ちて行く気がするけど、元々そんなにしっかりした人物ではないので、良しとしよう!ポジティブって大事だしね?

プラネテス 5冊セット(全4巻+公式ガイド) (アフタヌーンKC)

プラネテス 5冊セット(全4巻+公式ガイド) (アフタヌーンKC)

バガボンド』(絵はうまいけど、どうしたいのさ?)や『ブラックジャックによろしく』(医学生に聞いたよそんな話、熱いねえ)などが連載されている『モーニング』という週刊誌を読むのを止めようか迷っている時に、この『プラネテス』という漫画が読み切りで掲載された。
僕は、ハードカバーで付加価値を付け、インテリア感を漂わせる最近の文庫本を、読むことはなくなった。特に近年の日本人小説家の作品は、どんな賞を受賞しようと何の興味もわかない。決め付けて悪いが、昔のそれと違って格段にレベルが低いからだ。もちろん、それは過去の文豪達が現代人より優れていると言うより、自己の世界にあるエンターテインメントを、小説という媒体でのみで表現する時代が、とっくに終わったからである。映画・ラジオ・TV・ゲーム・漫画といった、数々の媒体に、文豪の卵達も流れていくことだろう。『プラネテス』の幸村誠の世界観は、漫画的というより、優秀なSF小説もしくは優れた短編映画と呼べるモノだろう。
『モーニング』は週刊誌ながら、おそらく圧倒的支持を受けた『プラネテス』を、隔週と言うより不定期週もしくは不定期月で掲載するようになった。もちろん、僕も含めて、多くの読者がそれに対して好意的だったと思う。時間がかかってもまったく異論がないほどの、質の高さを示したからだ。引っ張りまくりなのに、不定期的な連載を行う『バガボンド』には、「もう大金持ちだから、やる気ないんだね」って意見を持つ読者は多いだろうが・・・。
この『プラネテス』だが、1巻は、ほぼ短編調に話が構成されている。それぞれ、印象的な一コマというより、その一コマの為に話を作ったんじゃないかと思えるほど、インパクトを感じさせるシーンを用意している。もちろんマンガ的に、それなりのユーモアと軽快なテンポが周到に挿入されている。第一話に至っては、マンガらしくなく一切の笑いも用意されていないのに、その卓越した展開に引き込まれてしまった。SFアニメのオムニバス映画『MEMORIES』(大友克洋)の「彼女の想いで」という話を、一瞬彷彿とさせ、一気に置いていった感があるほど、優れた構成力を覗かせたと、勝手に確信している。っていうか、『MEMORIES』って作者のオナニー映画でしょ?ってくらい、僕の中の大友克洋を貶めてくれた。
また、『プラネテス』は本来のSF小説的な話を展開してくれる。機械バリバリ、なんだか聞いたこともないような横文字連発の機器を長々説明したり、「アムロ逝きまーす」とかいうお手軽宇宙ピクニック殺人雑談でもない。人の活動限界である宇宙の冷淡さと、漆黒の孤独感、それらから派生してくる自然な哲学と己の未来。うーん抽象的だな、僕!まあ、そんな小難しい話が根底にありつつも、人類初の木星開拓計画で使用する宇宙船のクルーを目指す、熱い男の自分との戦い話がテンポ良く、他のキャラの短編を織り込みつつ、展開されていくマンガです。
もし、頭が冴えててマンガ喫茶にでも行っていたなら、一読の価値があるやもしれません。でも、4巻の犬に吠えられるシーンは、感動というか嫉妬さえおぼえたね。「幸村君、映画撮って、俺に見せろ!」って言いたくなるほど、いいネタでした。沖田総司の死に際を描いた短編も良かったけど、本は出ないだろうな。「ああ、誠が見えない」なんて、本来の新撰組っぽくて納得できたし。
蛇足だけど、NHKで放映されてたアニメ『プラネテス』は、ある意味凄かった。あんなに、漫画をつまらなくする才能ってどこからわいて来るんだろう?質の悪いサイドストーリーを作って、いなかったキャラを早々に登場させるとこなんか、相当気が狂っているかと・・・。視聴料もらって殿様商売だから、NHKでサークル作って趣味でアニメ作って垂れ流しにしてるんではなかろうか?って感じるくらい、駄作に仕上がっています。