英・米、ジャンキー映画

最近、日本でも流行っているドラッグは、クラブなどでも容易に手に入ると言われている【MDMA】のような合成麻薬や【SPEED】などの覚せい剤だろうか?一時期、盛んに【MDMA】を持ち帰った者を逮捕した、との報道が目立ったが、このところあまり目にしていないような気がする。水際で止められているのか、安全な入手ルートが確立されたのかはわからない。
高校の時、「新横浜のとある駐車場で、麻薬の売買が行われている」などと噂が流れていたが、すぐに売人が逮捕されて、僕らにとっては麻薬は遠い存在であった。トルエン盗んでは、売ってるヤツは、いたけどね…。だが、大学に入って、大量募集のバイトなんかをしていたら、事情は変わってきた。
毎朝遅刻を繰り返し、昼過ぎまでロレツの回らない女の人は、ジャンキーであった。「トレスポ好きだし、間違いないって!」などと明確ではない根拠を元に、バックパッカーをやる為だけにフリーターをやっていた友達が、興奮してその女の人をジャンキー呼ばわりしていた。「その映画観てないけど、偏見だって」と答えると、かなり不満そうに「じゃあ、確かめてみようぜ!」と僕の腕を引っ張った。
まあ、始めは「朝、弱いんですか?好きなミュージシャンは?最近はまった趣味は?」などと、ぎこちない質問を繰り返したものの「僕、この間タイに行ったんですよ!ビーチで、シガー頼んだら、かなり高くて!」と友達がバックパッカー話を始めた。すると、「ですよねぇれ!でも、ファナだからしょうがない、れしょう!」と前歯が抜け落ちた老人のような喋り方で、返して来た。そっからは、僕は遠巻きに頷くことしかできないトークが展開した。「L(LSD)が〜、Lやってきてぇ〜、Sを〜」支離滅裂な薬物話の最後に「こんどオランダいくんれすよぅ。ヘロやめらえなくてぇ」と楽しそうに語っていた。「ヘロインをヘロって略す理由あんのかよ…」って静かに突っ込んでみたが、聞き流された。バイトを途中でクビになった彼女は、オランダへ渡って、日本に戻ってこれたのだろうか?

トレインスポッティング 特別編 [DVD]

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SPUN/スパン [DVD]

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上段の『トレインスポッティング』は、イギリス映画である。ということは、ピコ氏(id:piko1976)に借りたDVDで、彼が大好きな映画だ。よって、僕がレビューする。なんでだよ!自分で、死ねばいいのに語ればいいのに!まったく、「どうせ、僕が書いても面白くないんで、自分で調べて」って書けばいいじゃん。いつもみたいにさ。それは置いておいて、下段の『SPUN/スパン』はアメリカ映画だ。残念ながら18禁指定を受けてしまったので、知名度は低いだろうね。
『トレスポ』は、「サントラトラック持ってるけど、映画は見たことがない」という人は多いのではないだろうか?僕もその一人だった。アジアで、しょっちゅうハッパをやっていた友達が、車内で『トレスポ』のサントラカセットを擦り切れるまで聞いていて、すっかりはまってしまった。『Iggy Pop,Primal Scream,New Order,Blur,Pulp,Elastica,Underworld』そうそうたるメンバーによる、ドラッギー音楽の狂演…。
一方、『スパン』に関しては、音楽は印象に残っていない。ブリタニー・マーフィのブッ飛んだ演技と、ひたすらダメダメなジェイソン・シュワルツマンの存在感が売りだ。ストーリーも馬鹿満載。主要人物のほとんどがジャンキーで、チョロっと出てくる刑事も景気づけにドラッグを吸引する。ドラッグを精製している危ない男は、尻の話ばかりしているわ、売人はナニに靴下撒きつけてテレフォンセックスしてるわ、下ネタもオンパレードだ。
それと比べて、『トレスポ』は、リアル路線。と言えるかも知れない。イギリスというよりヨーロッパの薬物汚染への対処の難しさまでも、表現している。日本では考えられないが、ヘロイン中毒で盗みを繰り返して捕まった主人公が、執行猶予+リハビリで釈放されてしまうほど、麻薬には寛容である。もしくは、麻薬中毒者への更生方法がない。
『トレスポ』は、登場人物のキャラ設定も巧妙で、一見神経質そうな顔立ちをしているユアン・マクレガーが主人公。物語が行き詰れば、全てを壊しにかかる、唯一の麻薬中毒者ではない喧嘩中毒男ロバート・カーライル。しゃべるまでもなく、すっとボケキャラのユエン・ブレンナー。ハンサムだが、なんかインチキ臭いジョニー・リー・ミラー。キャラ設定の段階で、面白く出来ているのに、台本まで大受けしてるってんだから、そりゃあ面白いですよ。
音楽と展開も合ってるし、ユアン・マクレガーが、しゃべるしゃべる。ちょっと、うるさい!「イギリス人は、よく喋る」、っていうけど、納得です。また、映画終了直後に、見返してみると、「あれじゃ、終わらないな」とラストの安堵間を打ち消してくれます。
ただ、残念なことに2作品とも、麻薬根絶的なメッセージは、まったくと言っていいほど、送ってないよね?【トレスポ好き=ジャンキー】って偏見も頷けるかな?ピコ氏は、ヤニ中・アル中・失恋中…。