メル・ギブソンにしては、駄作かと

今日は20時間モードだったので、ほとんど自由時間はなし。それでも、息抜きとかいう魔物に取り憑かれて、プレミアムステージを見てしまった…。プレミアムなのは番組名だけだと思うが、見てない映画は、つい最後まで目が離せなくなって、2時間浪費。ってことで、仕事18時間モード−ブログ時間です。

ワンス アンド フォーエバー WE WERE SOLDIERS [DVD]

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この『ワンス・アンド・フォーエバー』は、単なる戦争モノに終始しない映画にしたかったらしい。まあ、「らしい」ってことで、良くある戦争モノのシーンが大半だった。
突撃してくるメットに葉っぱつけたベトナム兵と、それを面白いように撃ち殺していくアメリカ兵。敵弾に倒れ負傷する仲間を、命に代えても救援に向かうアメリカ兵。そして、途中で撃たれる哀れなアメリカ兵。負傷者を抱えて、後ろから撃たれる哀れなアメリカ兵。死んだ振りをしたベトナム兵の手榴弾に体を焦がす、哀れなアメリカ兵。孤立して数倍の敵を撃ち殺すも、善戦虚しくその数を減らしていく哀れなアメリカ兵。などなど…。「アメリカバンザイ!ヴェトコン死ねばいいのに」シーン満載だ。
それでも、なんか双方の兵士の家族などの描写を入れて、「戦争反対!アメリカバンザイ!」を声高に叫びたかったらしい。戦死の電報を配って回るタクシーの運転手に、「これからは、私の所に持ってきて頂戴」などと言って、代わりに電報を配り、慰めて回る主人公メル・ギブソンの妻。そして、それに付き添う親友(お約束で、親友の夫は戦死します)。
ベトナムの家族といえば…。えーっと…。あー、ヴェトコン人間じゃないから、いないです。ラストでメル・ギブソンが、殺したベトナム兵の懐に忍ばせてあった遺品を、その恋人に郵送するくらいです。恋人がすすり泣くシーンで、同情を誘うものの、殺した奴から送られたものだからねえ…。ベトナム指揮官が月を見たり、一人ぼっちの時に仲間を心配する男の背中を見せたりするけど、奴はただのナルシストです。
主人公が戦場ジャーナリストに、「この戦争が何だったか、伝えて欲しい」とか力説する場面もあったが、収められた写真は、撃たれたアメリカ兵と、負傷兵を担ぐアメリカ兵ばっかりだった気がする。この映画の戦闘場所は、『死の谷と呼称された、イア・ドランの谷』の、しかも1・2日に終始するので、この戦争を伝えきれるはずがない。よって、ラストを飾った記者の記事の語りが、「私たちは、皆若かった」などという…。馬鹿か!若さかよ…。
まあ、2時間をムダにしてしまった。メル・ギブソンの映画は好きなんだけど、彼の持ち味である、【頑ななまでの不屈の闘志】が、あまり感じられなかった。だから、主人公はメル・ギブソンである必要がないよね。結局、隊が全滅寸前に追い込まれたら、【辺り一面ナパーム地獄】で戦況を打開するオチだったし。ホント、隊長なんて誰でも同じですよ。『ティアーズ・オブ・ザ・サン』などの映画も、「戦闘機最強じゃねえ?」っていうだけのラストだったしさ。もう、【兵士<兵器】っていう図式は充分分かりましたって。多額の軍事費の正当化は、映画ではやめましょうよ。結局、ライフルの銃弾やナパームをどんなにバラ撒いたって、ベトナムに負けたんだからさ。もちろん、200万人も殺したんだから、成果は上々だったんでしょうけどね。