売れない歴、長すぎ

 最近また、寝る時間がズレて来ている。人間ってのは、体内時計の都合から1日1時間ずつ睡眠時間やら何やらがズレて行く、とか聞いたことがあるが、多分それだね。23時とか0時とかに2〜3時間寝たり寝なかったり、たまに16時に1時間寝て補ったり、遊んでてムリだったり、仕事してて無理だったりしてたのが、6時から2〜3時間寝たり、5時間近く寝たりするようになったりするだけだからね。うーん、蓄積された体内時間のズレが、そうさせてるんだよ。ファラオとかラピュタとかの呪いも手伝っているかもしれないけどね。

BECK(1) (KCデラックス)

BECK(1) (KCデラックス)

 この『BECK』というマンガだが、連載当初は珍しいバンドもの漫画だった。なにせ少年漫画だから、専門的な音楽の話なんかしても大半がついて来てくれない。また、バンドブームではないから、憧れのバンドなんかを挙げ連ねて、「俺も、こんな人達みたいにビッグになるんだぜ!」みたいな話で濁すわけにも行かない。女性は、子供時代に比較的ピアノや音楽の授業に興味を持つ人が多いので、マンガに躍動感を付けた音符を並べる描写で、「この人、天才ないんですよ!」って表現をすれば許されるケースも多いと思うが、少年誌では難しいだろう。元より、バンドマンガだから、ギターのコードなんか並べたら、男女問わず、「意味わかんねえ」って感じる人が大半なはずだ。
 連載は、『少年マガジン』なので、コアなファン向けに作るはずもない。パターン通り、平凡な日常を過ごす普通少年が主人公。いきなり、天才ギタリストと美人の妹と友人になって、自分もギターをやり始めたり、歌を歌ったら自分も天才だったりして、ハイレベルな仲間達とバンドを結成して活動する、っていう少年の願望をくすぐるような作品だ。
 しかし、主人公が歌を歌うシーンなんかは、非常に上手く感じる描写を成している。前に『ゴリラーマン』を連載していた作者とは思えないほど、緻密な空間を表現できている。歌詞も音符もなしで、上手さを表現する方法は斬新というか、「これしかないんだ」って感じでしたよ。また、対バンやライブハウスの臨場感とかも表現できていて、ちゃんとしたバンド話にできているしね。
 ただ、『ゴリラーマン』だっただけに、ラブコメ部分でも執拗に下ネタを入れたり、なんかマフィアみたいな音楽会社出してきて、話を伸ばしたりはする…。早い段階で天才を揃え過ぎたせいで、ベストの状態でライブをやれることはほとんどない。なにせ、最強クラスだから、いきなりメジャーデビュー→大ヒット、っていうパターンになってしまう。そしたら、いきなり完結だからね。引っ張って引っ張るために、難関だらけにしてしまう…。ただ呪われているだけの天才バンド話、とも言えるかもね。でも、まあ、面白い方だと思いますよ。ええ。アニメ化したんだっけ?ああ。アレは失敗でしょ?主人公が歌上手すぎるからね。ライブシーンなんて、万人受けするカリスマミュージシャンを用意しなきゃいけないからね。とりあえず、全盛期のジョン・レノン捕まえて来なきゃ、始まりませんって。