ワンダと迷子

 恒例の仕様変更が入った。キツイぜ、ハニー。今週はイケンザキだぜ…。寝ないで働いてもムリ、っていうか無理だった。関係ないけど、マンガか映画で、「そいつはムリだぜ、ブラザー!」みたいな叫びに、「いや。無理なことは、できない」なんて答えて、ソツなくそれをこなした場面があった。そう、「無理なことはできない」。そして僕は、できませんでした。ワーイ。いや、うっほほーい!

ワンダと巨像

ワンダと巨像

 ってな感じで精神的にやられてきたんで、プレステ2の封印を解いた。そして、この『ワンダと巨像』のラスボスへ、理不尽な仕様変更の怒りをぶつけた。弱点以外の部位にすら、剣や弓を突き刺し、苦悶の咆哮を聞いて満足するつもりだった。まあ、それも無理だったけどね…。よえーよ、巨像さん。
 登場する巨像のサイズは様々だが、多くは【 ウルトラ警備隊の一隊員 VS 怪獣 】と言っていいほどのサイズ差の中で、戦闘を繰り広げる。しかし、どんなに巨像が巨大であっても、軒並み動きが鈍い。もしくは、攻撃力がない。巨像に10発近い攻撃を受けても立ち上がる主人公(上手く休めば、何発もらってもOK)に対して、弱点を刺された巨像は、それ以下の攻撃で昇天してしまう…。デカイけど、何か弱いよね?あと、足元を転がってるだけで、巨像はグルグル回っているだけだったりする。
 アクションゲームとしては、なかなか斬新な展開かな。名前を呼ばれるのは、魔神だかなんだかの長ったらしい名前のヤツと、アグロだけだ。ちなみに、アグロは、主人公(青年と表記されているだけ)の馬だ。×ボタンを押すと「アグロ!」って叫んだりするくらい、馬の名前は呼ばれるものの、主人公どころか死んでいるヒロインの名前すら、誰も呼んじゃあくれない。それどころか、16体登場する巨像の名前すら紹介されないので、「トカゲみたいな巨像」とか「カメみたいの」とか「おっきいカメみたいの」とか「馬鹿でかいカメみたいな」とか「牛みたいの」とか「もうちょっとデカイ牛みたいの」などと、勝手に名付けるしかない。そんな演出もあって、過分な感情移入を拒絶される。
 漠然と漂う重苦しい雰囲気と、美しい風景。「ヒロインを蘇らせたければ、巨像を全て破壊しろ」という命令に、盲目的に従いボロボロになって行く青年。プレイヤー側に、どこか不安を感じさせながら、次の巨像への攻略を楽しませようという手法は、なかなか良かったと思います。
 ただ、僕のような方向音痴は、広すぎるマップで巨像を探す事に、多くの時間を割いてしまって…。プレイ時間7割近くが、迷子です。方向が指し示されていても、山の中を指していると、何度でも山を登ろうとするんですよ。『そこに山があるから』ね…。
 まあ、エンディング時の操作は、粋でした。そして、巨像の弱さのルーツを、目の当たりにした瞬間であったような気もしますよ。2・3シーンでも、主人公と生前のヒロインのやり取りが挿入されていたら、最後の操作は20分と言わず、1時間は粘っただろうけど、思い入れが薄いので止めてしまった。悲劇的に終わらせておいて、実は最も合理的なご都合主義。構成力は、お見事ってことで。